TeikyoSat-3とは
TeikyoSat-3とは帝京大学宇都宮キャンパスの工学系クラブの宇宙システム研究会で開発中の小型人工衛星です。本衛星は、粘菌を搭載することにより、 宇宙空間において粘菌という生物が微小重力や放射線を受けることによってどのような影響を受けるのかを観察することが目的です。
また、2011年12月14日にJAXAより2013年打ち上げ予定のH-ⅡAの相乗り衛星に決定しました。
ミッション系
粘菌(子実体)の画像
粘菌の生活環
ミッション班では小型衛星のミッション、「小型衛星での微生物の観察、その技術の獲得」としています。そのために、他学科・他大学の協力の下、 粘菌の育成・生物実験、観察システムの開発など、小型衛星で観測可能なシステムの設計開発を自分達で行なっています。
詳細
「微生物観察衛星TeikyoSat-3」はキイロタマホコリカビと呼ばれる粘菌を搭載し、子実体形成の成長過程が宇宙環境(微小重力、高放射線)においてどのような影響を受けるのかを観察する理学的なミッションです。これまでにスペースシャトルや宇宙ステーションで行われた実験を小型人工衛星で行うことで、低コスト、短期間で開発できるというメリットがあります。 さらに、小型衛星における生物実験(理学的ミッション)の技術確立を行い、粘菌以外の微生物実験へ適用する可能性を広げ、生物学や医学への貢献を目指します。TeikyoSat-3は、自律プロセス管理及び温度管理が必要であり、粘菌が生存できる条件である約1気圧のもとで、10℃以上28℃以下の温度範囲を保つことが必要です。これを保った状態で粘菌の生存サイクルを管理し、画像撮影を行うことで今後の小型人工衛星による生物実験への技術的貢献は非常に大きなものではないかと考えています。
粘菌とは
粘菌は動物的、植物的要素の両面を有することから、バイオサイエンスの世界ではモデル生物として重要な研究対象とされています。 このことから、粘菌を宇宙環境で観察することで生物学や医学への貢献も期待されます。
熱構体系
私達、熱構造班は名前の通りTeikyo-Satにおいて構造の考案、熱の解析などを主に行っています。 じつは熱班、構造班で分かれていたのですが、同じモデルを使っての解析や温度管理がそのまま構造の問題にもつながってくることから つい最近一緒になりました。なのでおそらく人数もいちばん多いBIGな班になりました。 そんな新生、熱構造班ですがTeiyo-Satをより屈強?なものにすべく頑張っていきたいと思います。
電子・電源系
私たちはTeikyoSat-3の太陽電池やバッテリといった電源系とマイコンのプログラムを作ったり、電子基板を設計したりするC&DH系の仕事を担っています。TeikyoSat-3では、粘菌と呼ばれる微生物を観察するための顕微鏡やカメラといった理学系ミッション機器を搭載し、粘菌が生きていける温度環境に調節するためにヒータ等を搭載する必要があります。従って、必然的に消費電力が大きくなる傾向にあり、粘菌の生存環境の維持と同様に電源設計もミッションの肝の一つといえるでしょう。2013年度のJAXAの相乗りに向けて、現在電源系の設計及び製作、搭載機器の制御プログラムの作成を行っております。これからも衛星の要ともいえる電源及び制御を設計・製作を進め、運用後の衛星のサポートまで全力疾走でやっていきたいと思っています!目指すは衛星のALSOKです!!
地上局
地上局アンテナ
地上局設備
地上局は、帝京大学宇都宮キャンパス地上局を使用する。 通信班の役割は、衛星局はHKデータをテレメトリでCWにて送信する。また、本衛星に搭載した機器の取得したミッションデータ(粘菌の画像データ)をFMにて送信する。そして、地上局と交信を行い、コマンド指令を受信する。地上局は本衛星の運用において、FM・CW信号の送受信を行うことを目的とする。 地上局との通信を行う際には一般的なアマチュア周波数帯を用い、アップリンクにVHF 144MHz帯を、ダウンリンクにUHF 430MHz帯を使用する。
通信系
コールサイン
衛星局(TeikyoSat-3)...JQ1ZKM
運用局(帝京大学)........JQ1ZKN
ダウンリンク周波数
周波数:437.450MHz
変調方式:CW,AFSK 1200bps
CWフォーマット
※間違いの指摘を受けた換算式を修正しました。 現在,換算用のソフトないしフォームを作成中です。(2014/3/8 0:04)
モールスデフォルトメッセージ
JQ1ZKM_JQ1ZKM_JQ1ZKM_:_TS3_TS3
S1_(RSSI)_(AD1)_(AD2)_(AD3)
S2_(AD4)_(AD5)_(AD6)_(AD7)
1. _(アンダーバー)はスペースを示します。
2. RSSI, AD1-7は2バイトのA/D変換データが入ります。(16進数)
(モールスデフォルトメッセージ例) JQ1ZKM JQ1ZKM JQ1ZKM : TS3 TS3 S1 54 73 78 79 S2 76 84 1D 65
要素 | 名称 | 単位 | 換算式 |
RSSI | 電波受信強度 | V | Analog / 1000 |
AD1 | Access Panel -Y 温度 | ℃ | 0.000004 * (Analog)^2 - 0.0447 * (Analog) + 111.82 |
AD2 | Access Panel -Z 温度 | ℃ | 0.000004 * (Analog)^2 - 0.0456 * (Analog) + 112.41 |
AD3 | Access Panel +Y 温度 | ℃ | 0.000004 * (Analog)^2 - 0.0444 * (Analog) + 112.24 |
AD4 | Access Panel +Z 温度 | ℃ | 0.000005 * (Analog)^2 - 0.0482 * (Analog) + 112.61 |
AD5 | Upper Panel 温度 | ℃ | 0.000004 * (Analog)^2 - 0.0453 * (Analog) + 112.83 |
AD6 | ミッションモジュール雰囲気温度 | ℃ | (Analog) / 10 |
AD7 | ミッションモジュール気圧 | hPa | 1013.25 - ((179.4594595 - (Analog) / 11.1) / 0.16) |
Analog:2バイトの16進数をアナログ電圧データに変換したもの。
※ADCの分解能は8bit,電源電圧は5V,基準電圧は0Vです。
Analog [mV] = (d / 255) * 5 * 1000
※AD6のデータはモールス可変メッセージ中の雰囲気温度と一致しないため,
データとして信頼できる値ではない可能性が高いです。
モールス可変メッセージ (mvmTelemetry) ::= (batVolt0) ":" (batVolt1) ":" (epsCurr0) ":" (epsCurr1) ":" (hkData) "\n"
内訳 ※batVolt0, batVolt1, epsCurr0, epsCurr1については下表を参照のこと。 (hkData) ::= "h:" (hum) "/p:" (prs) "/t:" (tmps) ":" (sw) (hum) ::= (dec) (prs) ::= (dec) (tmps) ::= (ambtmp) "_" (contmp) "_" (contmp) "_" (contmp) "_" (contmp) (ambtmp) ::= (dec) (contmp) ::= (dec) (sw) ::= "0"|"1"
(モールス可変メッセージ例) 00ff:00ff:00ff:00ff:h:186/p:1909/t:254249249244248:0 ※t:の数値は3つで1つのデータとなる。
要素 | 名称 | 単位 | 換算式 |
batVolt0 | バッテリ0電圧 | V | -0.015081062*ADC+11.03494835 |
batVolt1 | バッテリ1電圧 | V | -0.014715782*ADC+10.96275368 |
epsCurr0 | 太陽電池電流(+Y) | mA | -0.5259*ADC+529.620 |
epsCurr1 | 太陽電池電流(-Y) | mA | -0.50716*ADC+519.534 |
hum | 湿度データ | % | d/10 |
prs | 気圧データ | hPa | 1013.25 - ((179.4594595 - d / 11.1) / 0.16) |
ambtmp | 雰囲気温度データ | ℃ | d/10 |
contmp1 | 接触温度データ1 | ℃ | d/10 |
contmp2 | 接触温度データ2 | ℃ | d/10 |
contmp3 | 接触温度データ3 | ℃ | d/10 |
contmp4 | 接触温度データ4 | ℃ | d/10 |
sw | ヒータスイッチ状態 | - | 0:OFF, 1:ON |
※ADCは16進数データを10進数に変換した値。 ※dは10進数の値。
送受信機
HK(House Keeping:健康状態)データをテレメトリでCWにて送信する。また、本衛星に搭載した機器の取得したミッションデータをFMにて送信する。 そして、地上局と交信を行い、コマンド指令を受信する。送受信機は(株)西無線研究所の機器を使用する。
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モデム
送受信機を制御するモデムとして、AXELSPACE Corporationを使用する。 また、コントローラはビーコン用にモールス符号化機能を、コマンド・テレメトリ用にAX.25パケット変調機能を使用する。
アンテナ
以下にアンテナの仕様を示す。
周波数 | 使用アンテナ | アンテナ長さ[mm] | |
アップリンク | 145MHz 帯 | モノポールアンテナ | 520 |
ダウンリンク | 437.450MHz | ダイポールアンテナ | 350 |